世界No.1消費財メーカーから学ぶ!就活を人生の成功に繋げる考え方
泣く子も黙る大企業、それがP&G
P&Gは、178年の歴史をもつ世界を牽引するトップメーカー。彼らの生み出すトップブランドは、いまや世界中の人間にとって必需品となっています。いくつか代表ブランドをみていきましょう。
もれずにニコニコパンパース!
その1つがこれ、パンパース。このおむつには不思議な力があり、どんな赤ちゃんも肌さわりのよさに笑顔になって笑いじゃくるとか。まぁいま思いついた嘘なのですが、パンパースはいて面接にいったら余裕かもしれません。ぜひ試してみてください。結果報告は不要です。
みんな大好き!ダウニー
ダウニーって、実はP&Gのブランドなんです。ダウニー好きな男子・女子は全国に生息しているものと思われますが、ぜひ神戸本社の方角にむけて一日3回は礼拝しておきましょうね。
ちなみにですが、ぼくもダウニーが大好き。なんならわざわざダウニーだけを買うために、秋葉原のドンキまで自転車こいで行った記憶があります。近くの薬局で買えよ、というツッコミは受付けます。まったくその通りです。
帰り道にダウニーのキャップがはずれてカバンの中でダダ漏れ、カバンがにゅるにゅるになったのもいい思い出。それ以来、別のメーカーのものを使っているのは個々だけの秘密です。
実家に置いてある消臭剤。超いい匂いでした。どこのかと思ったらP&Gでした。おそるべしP&Gです。そろそろ雑談おわりますね。
P&Gを敬遠するのはもったいない。
P&Gは、ハイパー高学歴がこぞってエントリーする企業です。
ぼくの知り合いで、東大生のHくんというむっつり高学歴がいます。
彼に、大学3年の夏、こういわれたんです。
「とりあえず外銀/外コン/P&Gにエントリーした」
でした。外銀なんてお金動かして利ざやとってるだけでしょ?とか外コンなんてYahoo!知恵袋のすごいやつでしょ?って思ってた無知なぼくにとって
「P&Gってどこ?何つくってる会社?」って思いましたが、そんなことをぼくが思っているなんて彼は知りません。彼は続けます。
「P&Gのエントリーシートは就活で使えるから、やっといた方がいいよ」
・・・。まったく、ピンときませんでした。彼は続けます。
「P&GのESは内容が網羅されてるから、早い段階で一回取り組んどいた方がいいよ。その後のESが書きやすくなる」
そうなんだ。
おさらいしておきますが、当時のぼくのレベルはこうです。
・電通〇〇パートナーズと電通の違いを知らない。会社名違うだけだよね?
・モルガンスタンレー証券は怪しげな証券会社である
当然、P&Gが「ハイスペ就活生のうち、一握りのさらにひとおにぎりの人間しか入れないところ」だなんて夢にもおもいませんでした。
そんな純粋無垢でどうしようもなくハゲ散らかしたぼく。
P&Gのエントリーシートみて絶句
P&Gエントリーシート
1.あなたが、解決したい課題や問題について、重要な関連性のある情報(データや事実など)を見出し、その課題や問題の根源をつきとめ、解決策を提案した結果、望ましい成果を挙げた経験について述べてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
2.あなたがグループの中でリーダシップをとって、方向性を示し、グループメンバーから協力を得て優れた結果を出した経験について説明してください。(全角半角問わず500字から700字程度)
3.あなたが、これまでに著しい結果(学校、コミュニティー、仕事などを含む)を出したときのことを教えてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
4.あなたの周りで起こった変化によって、いつもより柔軟になる事が必要になった時のことを述べてください。その時の状況を説明し、あなたがどのように対処したのか教えてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
5.あなたが、異なる背景、経歴又は考えを持っている人々と、建設的な関係を築き上げ、よりよい結果を得た例をあげてください。(全角半角問わず500字から700字程度)
門を叩く気すらしませんでした。
文字数最大3500文字。P&Gのエントリーシートは長く、設問1つで他社の2倍~3倍。設問自体5つあります。しかもすべて「経験」に基づくものでなければならず、徹底的にアウトプットしてきた人間でなければ、採用側に「会ってみたい」と思わせることすら難しいのです。
つまり、ハンパ人間のぼくは、ES書くだけ無駄なんだと。そんなわけで当時のぼくは、エントリーすらせず、P&Gの採用コンセプトも分析もせず、終わったのでした。
- こんなESを書ききれるのは、限られた人間だけ
- 英語いるんでしょ?英語面接なんて俺には無理
- どんな特別な人間だったら、P&Gなんか行けるんや
と思っていたのです。
そこらへん私大のパラダイス学部だった身としましては、自分の経験の薄っぺらさに絶望しました。
あなたはどうですか?
P&GのESをみて
「これだけ分量があれば人事に実績部分を納得させやすいし、ライバルが減って楽だ」
と思いますか?そんなあなたはエリートですからさっさと消えてください。
それとも
「長すぎるんじゃハゲ。どんだけリア充大学生やったらえぇねん。もうパンパース買ってあげない。布で代用するからいいよ」
と思いますか?
ぼくはもちろん後者側でした。ちょっと盛りましたけどね。後者でした。
P&GのESが書ける人間と、書けない人間の違い。
あなたが前者の学生なら、このページは役に立たないでしょうが、あなたが後者の「経験値が圧倒的に足りない」就活生であるなら、就活というより内定後の生き方を模索する上で、一度P&Gの採用分析をしたらいい。
P&GのESは、誰にでも書けます。後述しますが、P&Gの求める人材には2つの条件しかないからです。
ESを書けるレベルに達していないのであれば「なぜ書けるレベルにないのか」を考えてみれば、その理由はおのずと分かるはずです。
答えを先にいってしまえば
「世界観/価値観/ものの見方」×「行動力/体現度/影響力」です。
就活生においては、この両方を持ち合わせていることはめったにありません。そもそも、「社会人としてのマナー」という足切りラインが重要視されていることも事実です。
でも、これからの時代、個人の価値をどう高めていくか、ということに向き合わざるを得なくなる。ぼくはそう考えています。
だからこそ、長期的な視点で就活から学んでほしい。そのために、今日はP&Gを題材に記事を書いています。
英語が「いま」喋れないから、挑戦しない。経験が「いま」不十分だから、挑戦しない。実績が「いま」ないから、挑戦しない。
そんなのはもったいないのです。自分の人生を会社に預けるというのは、つまらない。正直、その人の好き好きだけどね。
ちょっとでも危機感のある人、就職活動にしっくりこない人と一緒に考えていきたいのです。
話を戻します。
時代の最先端「Cutting Edge」に君臨し続ける要素とは?
採用ページから、P&Gの強みを読み取る
P&Gの採用ページには
- 「暮らし感じる、変えていく」
- コンセプトの概念は、P&Gが発明したもの
- 常にマーケティングの最先端(原文:on the cutting edge of marketing)
という記述があります。
- その価値がどこから生まれるか?
- 178年もの間、なにがP&Gを成長させてきたか?
- なぜ時代の最先端(Cutting Edge)に君臨し続けているのか?
を考えたとき「採用トップページ」のとある一文に目がとまりました。
「お金、資産、ブランドが全てなくなったとしても、社員さえいれば10年で元通りに再建できる」
“You take away all the buildings, you can take away all the brands, and P&G people will rebuild the company in a decade.”
Richard Deupree (CEO from 1930-1947)
1948年に、P&Gの会長だったリチャード・デュプリーが残した言葉です。
もちろん、成功の影には多くの失敗があります。ただ単にP&Gがラッキーだった、ということもあるでしょう。人間の認識は、あえてシンプルにできています。でも、ここには重要なメッセージがあるように思いました。
このメッセージは、単純に社員1人1人が資産なんだよ、という以上に、「イノベーティブなP&G」という意味において「優秀な社員同士の相互成長により、新たな価値と新たなアプローチを創出できる」という重要な意味を含んでいます。
つまり、P&Gは1人1人の根源的な価値を認めている。しかもその価値というのは、「〇〇ができるから」という条件的な価値ではない。
1人1人違った視点を持っている、それ自体が価値。
この視点から、新たな切り口が生まれていくわけです。
そのための人材を、P&Gは求めているんですね。
人材に求めている、たった2つのこと。
P&Gのエントリーシートは分量が多く、いくつもの切り口が求められます。しかし、内容自体はシンプル。求める人材像も明確です。
あえて条件を羅列していくと「感性・戦略的思考力・データ分析力・リーダーシップ・語学力」といったところですが、これらの条件はすべて最低条件であり、それ自体はP&Gの求める価値とはずれています。
P&Gは、これらの条件を最低レベルで踏まえた上で「自らの世界観を他人とすりあわせ、顧客のよりよい未来を実現できる」人材を欲しているのだと思います。
P&Gの欲する人材像が、なんとなくわかってきたでしょうか?
「世界観/価値観/ものの見方」×「行動力/体現度/影響力」
他人のまねをしていたら、間違いなくNo.1にはなれず、No.2以下になってしまう。Cutting Edgeにはいられない。
だから、1人1人の価値を認めている。そして「イノベーション」が生まれる。
かんたんにいえばそういうことです。
全ては、自身の「世界観」を「体現」しているかどうかが問われている。
世界観を持っているだけではいけない。
- こんな理想の世界だったらいいのに
- もっと〇〇だったらいいのに
- もっと〇〇できるのに
といっているだけで行動しないなら、むしろ何も考えずにのらりくらり暮らしている方が幸せでしょう。
何も考えずに行動するだけではいけない。
- 飲み会に行きまくっている
- うわべだけの情報をもとに就活をしている
- 海外を放浪すれば、本当の自分が見つかると思っている
なにかを深く考えるとか、問題に対して主体的に働きかけることが重要です。
ぼくは仮説を立てました。
「時間さえあれば誰でもP&Gに入れるのではないか?」
えっ?いやいやいや、と思いましたか?
そう、大半の大学生はP&Gに入れません。ESすら通りません、というか書けません。でもそれは、単に経験値が足りないからなのです。経験値が足りない、つまり一般大学生レベルの「視点」と「行動力」では評価の対象に入らないのです。
だけど、この「自らの視点を持ち、それを体現しているかどうか」という評価基準は、今後の世界を生きる人間の必須能力だとぼくは思っています。
そして、この「視点」と「行動力」、言い換えれば「世界観」と「その体現」は、今後1人1人の考えやスキルが重要になる社会を生き抜きたければ、大なり小なり身に着けておくべき能力です。
だからぼくは、いたってフツーな就活生にこそ伝えたいのです。「P&Gでも通用するような人材になろう」と。別に「P&Gに入ろう」という言いたいワケではありません。そうではなく、日本企業全体にとって、P&Gの価値基準にのっとった人材が必要だということです。
企業が掲げないほどレベルの高い人物像です。本心では「こんなのあったらいいな」と思っているけど、「まぁそんな人いないよね」と諦めているレベルの人間。それがP&Gの求める能力水準。
つまるところ、P&Gのエッセンスを吸収できれば企業イチコロってことです。そして何より、完璧になる必要ありません。自分のステージに合わせて、理想をP&G水準に設定して今日から生きることが重要。
言うは易し、行うは難し。とはいえ、就活の枠におさまっていてはつまらない。今後10年20年をみすえて個人ベースであれこれ考えることこそ、今の時代を楽しく生きる必勝法だとおもいますよ。
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