就活Hack|Design your Life

正しい問いを立てよう。

なぜ面接官のオヤジ共は、あなたを理解してくれないのか?

 

「就活戦線異状なし」という1991年公開の映画があります。 

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異状ありとなっていますが、タイトルミスってます

 

この映画の見どころはなんといっても、大原くん(織田裕二)が大手テレビ局のお偉いさんををはりたおすシーンでしょう。

 

六本木のディスコで会ったおっさんに「うるせぇ!」と言われ、大原くんは頭にきました。表に出ると、おっさんをビールケースの中へ殴り飛ばすのです。相手が第一志望企業の面接官だとは知らずに。

 

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2人を六本木の高級クラブで引き合わせたのは、北町くんでした。彼は、父親のコネで大手広告代理店に内々定した事実を隠し、入社する気のない大手デパートに限度ぎりぎりまで接待をさせた挙句「誰が(お前のとこなんかに)行くかよ!就活なんて騙し合いだろ!」ついうっかり本音を言ってしまうという、なんともお茶目な大学生です。 

 

※内定は確かに、結婚とは違います。1社に決めることが当然と思えるかもしれませんが、複数内定を獲得したあとに選ぶのが正解です。福利厚生や社内事情・同期の顔ぶれなどの重要な事実は内定者懇談会まで教えてもらえないことが多く、先に他社を辞退してしまうと取り返しのつかないことになります。

 

あれから24年。

当時22歳だった彼らは、今では46歳になりました。46歳というと、ドラクエでいうところのキラーマシンくらいでしょうかね。

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「面接官ふざけんな!就活なんか知るか!」と叫んでいた彼らが、いまとなっては「弊社を志望する理由はなんですか?(にっこり)」「それは当社ではないと実現できないのですか?(微笑スマイル)」と質問する立場になったのです。

 

24歳も歳が離れていると、もはや同じ人間とは思えない瞬間があります。さっきまですげー真面目な顔をして対応してたのに、急に女性社員に「ねぇ~〇〇ちゃ~ん」と夜の顔を見せたおっさんを、ぼくは知っています。

 

もちろん全てのおっさんがそうだとは限りませんが、ジェネレーションギャップは揺るぎない事実です。

 

そんな最終面接のキラーマシンに手こずる就活生が多いですが、それは「話を合わせることが難しい」と感じているからじゃないでしょうか?

 

キラーマシンの特徴をもう一度みてみましょう。

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「仲間になりにくい」

 

そう。キラーマシン仲間になりにくい(=積極的に就活生の価値を引き出してはくれない)のです。人事は十分あなたに素質があるとみています。しかしそれは「仲間」として関係をつくる場合であり、「商談や営業」になるとジェネレーションギャップを超える必要があるわけです。

 

大手企業の最終になると、だいたいこの「キラーマシン」クラスか、もしくはそれ以上のクラスと戦うことになります。一次や二次の若手社員や人事との面接とはわけが違います。異様に緊張感のある面接になるのです。

 

キラーマシンがあらわれた!

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キラーマシンA,B,Cがあわられた!

しゅーかつせい は じこPR をとなえた

キラーマシンAは 「うん、それはなぜですか?」と しつもん をほりさげた!

キラーマシンBは「それ、うちに入社しても叶えられないよね?」とゆさぶってきた!

キラーマシンCは 眉間にしわをよせて ES をにらんでいる…

しゅーかつせい は 説得力 を 出すために なんかいろいろなPR をとなえた! 

キラーマシンAは 「それ理由になってないよね」と わらっている

キラーマシンBとキラーマシンCも かおを みあわせ わらっている

しゅーかつせい は 頭が まっしろ になった…

 

王様「おぉ、しゅーかつせいよ」

 

油断していると就活生は惨殺されます。なんなら所持G(ゴールド)やプレイヤーのやる気までを奪っていくのです。「えっ、最終面接こわすぎ」と思った方、安心してください。キラーマシンの倒し方を教えます。

 

キラーマシンには直球しかない。

年の近い若手社員や、就活生と日々向き合っている人事はすぐ就活生の立場になってくれます。とっても優しい方々です。話を優しく丁寧に聞いてくれるでしょう。就活生の本音を探ることも、彼らの仕事ですから。

 

しかし不幸なことに、キラーマシン(40over)は冷たいのです。決して就活生のテンションのあがる受け答えなどしませんし、痛いところを容赦なくついてきます。そして、それが彼らの仕事なのです。

 

キラーマシンには権限があります。人事部が「この子とってもいい子です!」とアピールしたところで、お偉いさんが「こいつダメだわ、なんか感じ悪い。元気ないし部下にしたくないわ」と判断してしまったら最後。内定はありません。 

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 さようなら内定。こんにちは就活留年。

 

キラーマシンは独自の基準を持ち合わせている

キラーマシンになるまでには、ビジネスでもプライベートでも数多くの修羅場をくぐってきています。

 

十分に現場を知りつくしていて、プロジェクトの決断の多くは彼らによって下されます。1次面接や2次面接とちがうのは、自身のキャリアで培った独自の基準でも就活生を裁定しているところです。

 

「こいつはうちの部署に入ったとして使えるか」「入ってすぐに辞めないか」「印象はいいか」という視点で、直轄の部下を眺めるのと同じように、あなたも評価されるのです。

 

(余談)※ぼくは実際に「君、上司と喧嘩しそうだけど大丈夫?」ド直球で尋ねられたことがあります。こちらも直球で返事しておきましたが、こういったデッドボールをいかに打ち返すかということです。

 

相手の言語(価値基準)に寄り添う

親以上に歳の離れた社会人を相手に「価値を伝える」わけですから、一筋縄ではいかないのが当然です。話すときに緊張するのはそもそも価値観が違うからであって、仕方ないのです。

  • じゃあ、自分を偽って「いい子ちゃん」でいろってこと?
  • 自分を偽ってまで働きたくないんだけど
  • 就活なんてしょせん、嘘つき大会でしょ?

 と泣きたくなる気持ちもわかります。だけど、リクルートスーツを燃やすのはちょっと待ってください。TSUTAYAで映画を10本レンタルするのはまだ早いです。

 

勘違いしがちなんだけど、嘘はつかなくていいのです。嘘をつくのではなく、相手に分かるように価値を置き換えるイメージです。

 

とはいえ、そんなぼく自身、就活をしはじめた当初は、超絶ネガティブなイメージでいっぱいでした。 いまでも「噛めば噛むほど味の出るスルメみたいな人間です!」という大喜利大会タイプの自己PRをきくと、瞬時に体にポツポツができ、その場で花粉症になります。

 

噛めば噛むほど味が出るならそのまま食われればいいのにとさえ思いますが、そういうスルメ人間たちの中にも受かる人がいて、落ちる人がいますので、ひとまず置いておきましょう。

 

そもそもこんな雑談レベルの機転の測り方がスタンダードになり、その対策本が出ている時点で、就活のレベルは知れています。そして「ヤバい!先に対策しとかなきゃ!私は野菜で例えるとなんだろう?ナス?カボチャ?それともキュウリかな?」と友達同士でワイワイキャッキャする就活生が増えた結果、ぼくはみんな八百屋になればいいのにと思っていました。

 

採用する基準の測り方に、限界があるのです。就活なんてゲームです。今でもそんな思いは変わりません。就活なんてクソくらえ、と思っています。

 

そんなぼくですが、内定を手に入れるためには相手に「価値」を感じさせることこそ全てだと気付きました。そして、最終面接においては伝え方を工夫する必要があるのです。

 

伝え方を「工夫する」のと、自分を「偽る」のは違います。この違いに気付いたとき、僕は目の前がパッとひらける感覚を味わいました。

 

あなたにもぜひこの開放感を味わってもらいたくて、記事を書いています。

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騙してでも自分を売る、の本当の意味

 あなたが一生懸命で表現して伝えても、30近く歳の離れたお偉いさんに「どういうこと?」と疑問を残してしまっては、相手は価値を理解できないのです。

 

あなたが本当に企業にとって有用な人材だとしてもです。「厳選なる採用の結果、採用を見送らせていただきます」です。そんなの、悔しいじゃないですか。

 

狙い通りの企業に内定し、企業に貢献することはあなたにとっても企業にとっても「WIN-WIN」なはずです。あなたが企業でいい働きをして、その結果それなりの給料とステータスを得たいと思っているなら、面接官を騙す勢いで就活をすべきです。

 

就活生の中にはお客様視点から抜け出せない人もいます。「企業に採用してもらう」という受け身の気持ちです。

 

人ひとり入社させるということは、企業にとってリスクです。そのリスクを企業に選択させるためには、立場の違う面接官(キラーマシン)にも分かるように「採用する理由(=価値)」を伝えなければなりません。

 

「自分なりにアピールできた」とか「精一杯やった」とか、そんなもので企業に伝わる価値はありません。「自分では精一杯やってるよ、だからお願い!」というのはおうちでお母さんに訴えかけることであって、内定者、ひいては自分の人生に責任を持っている人間のふるまいではないのです。

 

伝える比重を、内容から印象へ

相手に価値が伝わらないのなら、伝わるように工夫しなければなりません。その1つが「何を伝えるか」から「どう伝えるか」にフォーカスしてみることです。

 

面接官はあなたがいった内容のほとんどを忘れてしまいます。どれだけいい内容を伝えたとしても、最後に残るのは印象です。

 

一日に何十人もの相手をする面接官の身になれば、あなたの話の内容やロジックより

  • 「学生にしてはよく考えてたし説得力あった(なんて言ってたか覚えてないけど)」
  • 「いいヤツだった!(挨拶よかったよね。受け応えの歯切れがいいし)」
  • 「うちに欲しいね(なかなかあんな素直ないい子いないよね)」
  • 「なにあのミジンコ、人事ちょっと来い()」

くらいの印象しか残りません。

 

大学の講義は90分間ほどですが、その中であなたは教授の話の内容を覚えているでしょうか。…ぼくの場合は

「教授ガラケーつかってるんや!」という誰も得しない発見か
「教授、リュックサックに万札いれてんの?なんで?」という素朴な疑問
「途中でトイレにいった女の子がものすごくかわいかった」、

くらいしか印象に残っていませんね、記憶力相当わるいので。

 

ぼくと比べるのも申し訳ない大学教授におかれましては、ロジックを筋道だてて話すわけですが、結局終わってみれば残るのは印象なのです。そこにロジックがちょいと付加されるようなイメージ。

 

海外旅行も同じです。

 

どこを観光して、何を食べ、誰とどういう話をしたか?よりもお前あそこで立ちションしたよな、とか、あそこの飯くそうまかった、とか、旅の全体的な印象しか覚えていないものです。

 

だから先ほどの例で言えば、「君は上司と対立しそうだけど大丈夫?」という質問に対しても残る印象を意識して答えるのです。

 

本音でいえば、価値観の合わない上司とうまくやるつもりはまったくありませんでした。しかし、どこに行ったって気の合わない人はいるものです。この質問自体、たいして意味はありません。

 

女の子が「ずっと一緒にいてくれるよね?」と確認したがるのと一緒です。それに、上司とうまくいくかどうかなんて「入社してみないと分からない」です。

 

結局のところキラーマシンは、君を入社させてもいいんだけれど、本当にリスクはないのか?問題ないか?という最終確認について、あなたの言質が欲しいだけです。

 

となれば、いわゆるテンプレート通りの回答は長すぎます。簡潔+補足で、相手が納得していないようならさらに具体例ラッシュで押しましょう。

 

テンプレート:「はい、もちろんです。上司との関係は〇〇であるべきだと考えています。実際に学生生活においても…」

印象重視:「大丈夫です!そのために〇〇してましたから!」そのあとの様子をみてエピソードを挙げていく

 

ちなみに面接官の反応は「笑」でした(苦笑)

が、そのあと「みんな他に訊きたいことある?」「んー、大丈夫かな」「いいよ、お疲れさんね」となり、解散しました。

 

でその夜、人事から「ぜひ一緒に働きましょう」と内定の電話をもらったわけです。倍率でいえば、ESを入り口として30倍の企業でした。

 

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価値がなくても問題ないし、価値がないなんてない。

上の文章で、ぼくは「内定を手に入れるためには、相手に『価値』を感じさせること」と断言しました。「伝える価値なんてないよ」と悩んでいる人もいると思うので、ここで補足しておきます。


あなたの価値がミジンコレベルだったとしても問題ありません。サークルやってない、TOEICうけたことない、学業の実績もない、バイトもしていない、特別な経験なんて何一つないとしても、あなたが存在する以上そこには価値があります。

 

何人もの就活生を見てきて思うのは「自分に価値がないと思っていたら誰も価値なんて見つけてくれない」ということです。

 

うさんくさいかもしれないけど、自分の価値を信じることが、就活(&社会で生きるということ)のはじまりです。これはあなたの価値が「学歴がある」とか「英語が喋れる」といった過去の実績には、全く関係ありません

 

20年間以上生きていれば、誰にでも価値は存在します。その価値はあなたがまず信じてあげて、発見(=創出)しなければなりません。

 

そうして発見(=創出)した価値を、次は人に伝わる形へと整えてあげる。そうしてはじめて、面接官や人事に価値が伝わるのです。

 

 価値を信じ、発見(=創出)し、伝えられる形にすること。この3ステップこそが、泥沼にはまった就活生にやって欲しいことです。発見と創出のプロセスが最も難しいところですので、今後記事にしていきます。

 

見つかった「価値」を伝えられる形にするには、相手の価値観評価軸を知らなければお話になりませんよね。そういった意味で、「就活戦線異状なし」の世界を知ることは、50代の社会人と話す際のクッションのような存在になって、スムーズに話す手助けをしてくれるはずです。

 

20年前の就活生は、今のあなたの面接官です。彼らにも就活をしていた時期があり、彼らなりの正義や評価基準が存在するのです。それらを知るために当時の世界をのぞくことも、就職活動の一環ではないでしょうか。

 

戦に勝つには、まず敵を知ること。時間をみつけて、ぜひ視聴してみるといいですよ。彼らも人の子です。ほんとうはキラーマシンなんかじゃありません、かならずあなたの仲間になってくれますよ。

 

それでは、また。