就活Hack|Design your Life

正しい問いを立てよう。

【前編】とある外資系製薬企業、サマーインターンでの人事部長の話

はじめに

文系/理系を対象にした、外資系製薬企業のインターンに参加したときの話です。

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インターンの参加者の内定先は、ネスレジャパン、オリエンタルランド、PMDA(日本医療機器総合機構)、三井住友銀行、リンクアンドモチベーション...みんな優秀な人間です。ベンチャーでスタートアップしてる人間もいます。優秀というのは体感値ですが、とにかく濃いメンバーでした。

どれくらい濃いかというと、新宿で久々に会って、おでこにシソをはりつけて「河童!」とかいって遊ぶくらいには濃いです。インターン中に1人だけ泣きだすくらいには濃いです。うち1人が実はボクシングめっちゃ強くて、1年後にFacebookで誰か分からなくないほどムキムキになるくらいには濃い。ほんとはもっとシェアしたいんですが、怒られるのでこのへんでやめときます。みんなハジけてました

 

そんなメンバーで集まったインターンの最終日に、人事部長が話してくれた総括。

  • 売れるMRと売れないMRのちがい
  • 文系MR・理系MRに求められるロール
  • 製薬企業のマーケティングの特徴

といった、製薬業界・MR職に関する専門的な話から

  • マーケティングを志望する人が知っておきたい「現場」の大切さ
  • 社会の荒波で生き抜くために必要な「上位目標」とは?
  • 社会人になる前に知っておきたい2つの話―「ANAの1%キャンペーン」と「ディズニーのお子様ランチ」

という話まで、多くの就活生にとって有益な内容です。以下にあてはまる人には、ぜひとも読んでほしい。

  • 「営業かなぁ、あと金融?商社?」と広く業界を見すぎて決められない就活生。文系あるあるです。
  • 「MRってどんな仕事なんだろう?MRの志望理由って何だ?」業界・仕事研究をしている就活生。MRや製薬業界ってエントリーしづらいよね。
  • 「インターン行こうか迷う。インターンのメリットって何?」とインターンについて知りたい就活生。インターンってえぇもんなんやで。 

全部で5章3000文字、あとがきも含めると4000字の長文です!自宅やカフェ、電車内でゆったりゆるりとお読みください。また、それぞれの章の末尾には「章のまとめ」を付記しておきました。

※当記事は、当時(2013年)のインターンシップのノートと記憶を頼りに、人事部マネージャーの話を再構成したものです。第3者(私)のフィルターを通したものであり、あくまで私一個人の意見と捉えていただけると幸いです。あらかじめご了承ください。

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目次

  1. インターンシップを終えた文系・理系・薬学部の君たちへ
  2. 全日空(ANA)の「1%」キャンペーンの話
  3. マーケティングも営業も「相手の事を考える」こと
  4. 製薬会社のMRとして求められる「信念」とは
  5. 就活を越え、インターンを越えて、社会人として成長する

1.インターンシップを終えた文系・理系・薬学部の君たちへ

みなさん「マーケティング」の切り口で、インターンシップに興味を持ってくれたんだよね。数日間おつかれさまでした。

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マーケティングって、なんだろう?

最初にマーケティングの話をします。

マーケティングの本はたくさん出版されていますね、書いてあること?どれも正解ですが、我々製薬会社は  マーケティング=「エモーションに訴えかけられるかどうか」 と考えています。

だって、もしこれを考慮しないなら、全国で同じだけ「とある医薬品(ブロックバスター)」が売れていいはずだよね。でもなかには「売れるMR」がいて「売れないMR」がいる。

売れるMR、つまり高い営業目標を達成するMRさんは、よく「先生(ドクター)との信頼関係が」なーんて口にする。だけどこれって要は、先生(ドクター)のエモーションに日々訴えかけた結果なんです。

「データを紹介」したり「使ってみたくなるように紹介する」。つまりマーケティングってのは「打ち手」を考えるってことなんだね。 

 

製薬会社において、「マーケティング=エモーションに訴えかけられるかどうか」

売れるMRと売れないMRの差=顧客の感情を動かした大きさの差

マーケティングとは「打ち手」を考えること

2.全日空(ANA)の「1%」キャンペーンの話。

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勘違いしないで欲しいんだけど、社会に出たら上から言われたことを「右から左に」やらなきゃいけない?そんなふうに勘違いしないでください。社会人として指示には沿うべきだけど、誰も「言われたとおりやれ」なんて言ってないよね。 

 もうずいぶん古い話になるんだけど、ANAが業績好調だったときに、1%の予算上の余裕ができた。君ならどう使う?単純に考えて旅券を1%値引きできるわけだよね。会社はそこまでしか考えない。マーケティングチームはどう考えたか?

マーケティングチームと現場の「打ち手」

マーケティングチームが考えたのは「100人に1人無料にします」キャンペーン。

大阪―東京往復なら、ジャンボになると約500人乗るよね。100人に1人ってことは、搭乗口で5人が「ピンポン!ピンポン!」と鳴る。すると「あっ、無料だ!」って分かって、羨ましくなる。

エモーションに訴えるよね。私、訴えかけられました(笑)そしたら次「JALじゃなくてANAに乗りたい!」と思うよね。

誰が「1%マケてもらうから」ってANAに乗りたいと思う?

これこそがマーケティングで「エモーションに訴えかける」っていうことだよね。

 

次は「現場」の人の話。

東京の空港で「ピンポン!」って鳴ったとき「おめでとうございます!」っていう。どうやるかなんて決めてないよね、現場が決めるんだよね。

大阪で帰りに「ピンポン!」ってなるよね。やっぱり5人くらい。そうすると大阪の人は「おめでとうございまぁぁあす!」ってやるわけだよね。嬉しいよね、カッコ悪いけどさ(笑)。これも現場が決めていることだよね。

現場も巻き込んで、はじめてマーケティング。

ANAにせよ、製薬会社にせよ、会社が決めることは数字。会社側が大きな「ポジション」を決め、現場の人間はそれを戦略に落とし込む。どうエモーションに訴えていくのかを決めていく。これがマーケティングなんですよ。

偉そうに大上段に立ってとうとうと語るのがマーケティングじゃない。エモーションに訴えかけるために「今ここで何をすべきか」って考えて、おのずと相手をみる。

 

「全員に1%値引き」と「100人に1人無料」では雲泥の差

相手の感情へ訴えかけるには、相手の立場に立つこと

ANAも製薬企業も、マーケティングはもちろん、現場も巻き込んで初めて「マーケティング」といえる

 

3.マーケティングも営業も「相手の事を考える」こと

書いてある通りやってできるような、そんな優しい仕事なんてありません。必ず相手の立場に立って、相手のことを考える。営業(MR)においても、マーケティングにおいても一緒です。

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ドクターや看護師さん、医療事務さんが

  • 何を考えて活動しているのか
  • それぞれの活動の重要性はなんなのか

を自分の中に落とし込まないと、営業(MR)活動もできないしマーケティングもできません、何の戦略も考えられません。

 

もし何も考えずに本の内容をそのままやればいいのなら、まったく問題なく社会はうまくいくはずだよね。だけど、うまくいかない。うまくいかないってところに「葛藤」がある。この葛藤と向き合うこと。

 

□相手の立場に立ってこそ、エモーションに訴えかけられる

□相手の立場に立ち、相手の思考プロセスや感情のスイッチを落とし込む。
(補足)本を読むのはソフトでいう「ダウンロード」。これだけではアプリは動かない。きちんと自分の中に落とし込む(=インストールする)こと

□社会の「うまくいかない」ところが腕の見せどころ

 

【後編】へ続く

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